クライアント管理の方法:紙、Excel、WhatsApp、アプリを比較

クライアント管理に唯一の正解はありません。正しい方法は、クライアントの人数によって変わります。紙とExcelは10人までなら十分ですが、30人で苦しくなり始め、60人で破綻します。WhatsAppは連絡には強いものの、記録を残すには弱い。クライアントアプリは導入の手間がかかりますが、人数が増えるほど元が取れます。
この記事が答えるのは「どれが一番いいか」ではなく、「自分の状況ではどれで十分で、いつ変えるべきか」という問いです。ExcelとWhatsAppがなぜプロらしい印象を与えないのかが気になる方は、ExcelとWhatsAppの罠の記事で別に取り上げています。ここでの焦点は規模です。同じ方法が10人と60人でどう変わるのか?
管理するとき、実際には何を管理しているのか?
方法を比べる前に、仕事そのものを定義しておきましょう。トレーナーがクライアントごとに持っておくべき情報は、たいてい次の5つにまとまります。
- プラン: クライアントが今どのプログラムをやっているか。
- トレーニング記録: どの日に、どの種目を、何セット、何キロで。
- メモ: 痛み、ケガの履歴、好み、生活の変化。
- パッケージの状況: いつ始まり、いつ終わり、残り何回のレッスンか。
- 進捗: 開始時から何が変わったか。
方法の良し悪しは、この5つの情報をどれだけ早く見つけられるか、そしてクライアントが自分の側をどれだけ見られるかで決まります。
4つの方法の強みは?
どの方法にも本当の強みがあります。トレーナーがこれらを使っているのには理由があるのです。
紙とノート。 準備ゼロ、コストゼロ。レッスン中にスマホに手を伸ばさずに書けて、クライアントもトレーナーが自分に向き合っていると感じます。手で書くと記憶にも残りやすくなります。
ExcelやGoogleスプレッドシート。 柔軟で無料。好きな列をつくり、数式で合計や平均を出せます。プログラムをテンプレートとしてコピーするのも速い。パッケージの終了日を並べ替えるような作業に強い方法です。
WhatsApp。 クライアントはもうそこにいます。新しいことを教える必要がなく、返信が速く、音声メッセージや動画も簡単に送れます。トルコではクライアントとの関係における自然なチャネルで、これは当分変わらないでしょう。
クライアントアプリ。 プラン、トレーニング記録、メモ、進捗がひとつの場所にまとまります。クライアントは自分でプログラムを開き、自分でトレーニングを記録します。トレーナーもクライアントがレッスンの合間に何をしたかを見られます。情報がクライアントごとに集約されるので、探す手間が減ります。
10人、30人、60人で各方法はどう変わるのか?
本当の違いは規模で表れます。下の表は、各方法が3つの人数で実際にどう感じられるかをまとめたものです。
| 方法 | クライアント10人 | クライアント30人 | クライアント60人 |
|---|---|---|---|
| 紙/ノート | 快適。クライアントごとのページが決まっていて、全員をすでに覚えている | 苦しくなる。古い記録を探すにはページをめくるしかなく、ノートをジムに置いてくると情報も置いてくることになる | 破綻する。進捗を見るには何か月もさかのぼる必要があり、クライアントに何も見せられない |
| Excel/スプレッドシート | 良好。ファイルひとつ、クライアントごとにシート | 重くなる。シートが30枚、レッスンのたびに更新、スマホでの編集は面倒 | 疲弊する。ファイルが分かれ、更新が遅れ、「最新版はどれ?」という問題が始まる |
| 連絡は完璧、記録はなんとか | プログラムやメモがトークの流れに埋もれ、「先生、プログラムをもう一度送ってもらえますか?」というメッセージが増える | 記録には使えなくなる。情報はあるのに見つからない | |
| クライアントアプリ | 導入の手間が見返りを上回ることもある | 元が取れ始める:探す代わりにクライアントのプロフィールを見ればいい | 最も快適な選択肢。人数が増えても、探す情報の場所は変わらない |
表をまとめるとこうなります。紙とExcelは、情報をあなたの記憶とセットで運びます。 クライアントの数が記憶の容量を超えると、方法も崩れます。一方、WhatsAppは別の仕事のために設計されています。会話です。記録に使うと、情報はそこにあっても、置き場所が間違っているのです。
クライアントが見る側はなぜ違いを生むのか?
比較の際によく見落とされる観点があります。クライアントには何が見えているのか?
- 紙では、クライアントには何も見えません。プログラムはあなたのノートの中です。
- Excelでは、クライアントがファイルにアクセスできれば見えますが、たいていはスクリーンショットを撮るだけです。
- WhatsAppでは、クライアントはプログラムの写真を見ますが、その写真はトークの上のほうに消えていきます。
- アプリでは、クライアントが今日のトレーニング、先週の重量、自分の進捗を自分で開けます。
これは、管理があなただけの仕事ではないということです。クライアントが自分の進捗を見られると、モチベーションも更新の判断も変わります。これについてはクライアントに進歩を見せるの記事で別に取り上げています。
複数の方法を組み合わせてもいいのか?
多くのトレーナーはひとつの方法ではなく、組み合わせて使っています。それ自体は悪いことではありません。それぞれの情報に「住所」がひとつだけあれば大丈夫です。
うまくいく分担の例:
| 情報 | 置き場所 |
|---|---|
| すばやい連絡、予約の変更 | |
| プランとトレーニング記録 | ひとつのシステム(Excelまたはアプリ) |
| メモ | プランの隣、同じシステム内 |
| パッケージの開始日と終了日 | プランの隣、同じシステム内 |
問題は組み合わせることではなく、同じ情報が2か所、3か所にあることです。プログラムがExcelにもWhatsAppにもあり、メモがノートにもスマホのメモアプリにもあると、どれが最新なのか誰にもわかりません。
WhatsAppをやめる必要はありません。クライアントと話すのに最も自然な場所です。変えるべきなのは、WhatsAppを記録帳として使うことです。
いつ方法を変えるべきか?
特定の人数が魔法の境目になるわけではありません。より信頼できる目安は、あなたが経験している状況です。次の項目のうち3つ以上に心当たりがあれば、今の方法はあなたのクライアント数を支えきれていません。
- あるクライアントが先月何キロで練習していたかを探すのに2分以上かかる。
- 「プログラムをもう一度送ってもらえますか?」というメッセージが週に2回以上来る。
- クライアントのパッケージがいつ終わるかを、メッセージをスクロールして探している。
- レッスン後の記録を夜や週末に後回しにしている。
- クライアントの痛みやケガを、レッスンが始まってから思い出したことがある。
- 「始めてから何が変わったか」という問いに、数字で答えられない。
- 自分が病気や休暇のとき、クライアントの情報が自分の手元にしかない。
実際には、こうした項目はたいていクライアント20〜25人あたりから積み重なり始めます。クライアントが10人で、どれにも心当たりがなければ、何も変える必要はありません。
乗り換えを楽にするには?
方法を変えるときに一番大変なのは、30人分の履歴を一度に移そうとすることです。それはやめましょう。一歩ずつ進めます。
- 新しいクライアントから始める。 今週から入ってくる新しいクライアントは、すべて新しいシステムで登録します。既存のクライアントには手をつけません。
- パッケージを更新した人を移す。 クライアントがパッケージを更新したら、新しいパッケージを新しいシステムで始めます。古い記録は要約だけ(開始時の測定値、主要なリフト、大事なメモ)を移します。
- WhatsAppは連絡用に残す。 クライアントには「プログラムはこれからここにあります。質問はこれまでどおりWhatsAppでどうぞ」と伝えます。変える習慣はひとつだけにして、全部は変えません。
- 2か月後に古いシステムを閉じる。 その頃には、ほとんどのクライアントが移行済みか、パッケージが終わっています。
この進め方なら、余計な負担なしに、パッケージ2〜3サイクルで乗り換えが完了します。
アプリの選択肢のひとつがFitBrandです。クライアントアプリはあなたの名前とカラーで開き、クライアントはプランを見てトレーニングを記録し、メモとパッケージの終了日はクライアントのプロフィールにまとまります。販売や日々の会話はWhatsAppで続けられます。
メモの整理方法も考えたいなら、トレーナーのためのクライアントメモ術の記事が次の一歩になるかもしれません。
どこから始めるか?
- 今アクティブなクライアントが何人いるかを数え、上の表でどこに当てはまるかを確認する。
- チェックリストの項目のうち、いくつに心当たりがあるかに印をつける。
- 情報の種類ごと(プラン、記録、メモ、パッケージ、進捗)に、「住所」をひとつ決めて書き出す。
- 方法を変えるなら、今週の新しいクライアントだけで始める。
- 毎月どの数字を見るべきかは、パーソナルトレーナーが毎月確認すべき3つの数字の記事で紹介しています。
FitBrandは、パーソナルトレーナーが自分の名前とカラーでクライアント向けアプリをつくれるプラットフォームです。クライアント一覧、トレーニングプラン、メモ、進捗グラフ、パッケージの終了日をひとつの場所で管理できます。無料で始める。